本書は、2003年5月から7月にかけて開催されたIGS主催夜間セミナー「東アジアにおけるジェンダー/セクシュアリティ理論と政治の諸課題」全5回の講義及びコメンテーター報告、そしてこのたび書きおろした4論文と既発表の1論文、そして何春蕤教授(台湾国立中央大学)へのインタビューをまとめ、編集、刊行するものです。
日本の読者へ
序章
第一章バックグラウンド―もはや単純ではないジェンダー・ポリティクス
第二章ポルノグラフィと女性の性的行為主体性
第三章セックスワークにおけるセルフ・エンパワーメントと職業的行為遂行性
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なぜフェミニストはセックスワーカーを読み解くことができないのか
第四章スパイス・ガールズから「援助交際」へ
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台湾におけるティーンの少女たちのセクシュアリティ、そのいくつかの編成体
第五章反人身売買から社会的規律へ―台湾における「女性運動」の役割の変遷
第六章アイデンティティの具現化―トランスジェンダーの構築
第七章トラブルを撲滅する―ある訴訟の捏造
第八章トラブルを統御する―台湾におけるグローバル統治とクイアの存在
第九章トラブルの統制―台湾のジェンダー・ポリティクスにおける「年齢」的転回
第十章ジェンダー統治をめぐる新たな政治
終章 何春蕤教授へのインタビュー
台湾・国立中央大学 文化研究講座教授
台中市生まれ。台湾・国立政治大学西欧諸語・文学部を卒業後、米国・ベンシルバニア大学教育学研究科で修士号取得。ジョージア大学言語教育学研究科で教育学博士号を取得後、台湾・国立中央大学に就任し、現在、同大学文学・文化研究講座教授。この間にインディアナ大学英語研究科のPh.D.取得。1995年に同大学の性/ 別研究室(Center for the Study ofSEXUALITIES)を創設し、現在もコーディネーターを務める。2003年5月~9月までお茶の水女子大学ジェンダー研究センター外国人客員教授。研究領域は、ジェンダー/セクシュアリティ研究。精力的な社会活動によって、1994年にはUnited Evening NewsよりWoman Who Changed Taiwan賞、ならびにIndependence Evening News よりWoman of the Year賞を受賞、2005年には、「1000人の女性をノーベル平和賞に―プロジェクト」にノミネートされている。 主な編著作に、2012《轉眼歷史:兩岸三地性運回顧 Personalis Political : Gender / Sexuality Studies/Movements in Greater China》(編)、2012《民困愁城:憂鬱症與現代性的黑暗面People in Trouble:Depression, Emotion Management and the Dark Side of Modernity》(與甯應斌合著)、2010《連結性:兩岸三地性/ 別新局Connections: Trans-Local Exchanges on Chinese Gender/Sexuality》(編)、2008《色情無價》(與甯應斌合編)、2003《跨性別Trans-gender》(編)、1997《性/ 別研究的新視野Visionary Essays in Sexuality/Gender Studies》上・下兩冊(編)、1998《好色女人 Admirable/Amorous Woman》、1998 《性/別校園Radical Sexuality Education》(編著)、1996《性心情Sexual Moods》(著)、1994《 不同國女人:性別、資本、文化Gendered Nations: Sexuality, Capital and Culture》(著)、1994《豪爽女人:女性主義與性解放 Gallant Woman: Feminism and Sexual Emancipation》(著)、など多数。